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ビットコインETFとは?「そもそもETFが分からない」を10分で「だいたい分かった」にする話

米国で2024年1月10日(日本時間1月11日早朝)、SEC(米国証券取引委員会)が11銘柄の現物Bitcoin ETFの上場申請を承認したビッグニュースが報じられました。

(*’ω’*)σ 米国では3つの証券取引所「Nasdaq・CBOE・NYSE」で現物Bitcoin ETFの売買が可能に!

これまで暗号資産を巡って多くの裁判を起こし、現物ETF承認に否定的であった米SECが申請を承認したことは、暗号資産の歴史に残る大きな転換期とも考えられます。

ただ、暗号資産から投資の世界に踏み入れた方は「ETFって何?」というケースも多いと思うので、今回は・・・

(*’ω’*)σ Bitcoin ETFの何がすごいのか?今後どんな影響が考えられるのか?を解説します。

そもそも「ETF」とは何なのか?

ETFは”Exchange-Traded Fund”の略で、日本語では「上場投資信託」といいます。

  •  投資信託の一種で、複数の異なる投資先が詰めあわされたパッケージ型になっている
      ↳ 1銘柄の購入だけでも分散投資ができる仕組み
  •  一般的な投資信託とは違って取引所に上場している
       ↳ 取引所がオープンしている間は、いつでも自分の好きなタイミングで売買できる

ETFに投資している人は1銘柄だけの保有でも多くの異なる投資先にリーチできるため必然的に分散投資となる仕組みで、証券会社に任せるのではなく自分で売買の注文を出すことができます。

(*’ω’*)σ リスクヘッジの基本「分散投資」と「自由取引」が可能な優れモノというわけです。

ETFの代表的な商品例として、「東証株価指数(TOPIX)」に連動するETFがあげられます。
TOPIX(東証株価指数)は「Tokyo Stock Price Index」の略で、東京証券取引所に上場する銘柄を対象として算出・公表されている株価指数です。

(*’ω’*)σ このETFを保有すれば、TOPIX全体に投資を行っているのとほぼ同じ効果が得られます。

ETFには株価指数に連動するタイプ以外に、不動産・債券・コモディティ価格(金など)に連動する様々な種類があります。

つまりBitcoin ETF”とはビットコインの値動きに連動する銘柄が、証券取引所に上場しているということになります。

(*’ω’*)σ ちなみに複数の暗号通貨銘柄に分散投資される”暗号資産ETF”というものもあります。

ETF・投資信託・株式の違い

もう少しだけETFを深堀りして、よく比較される「株式」「投資信託」との違いを見てみます。

株式ETF投資信託
1銘柄で運用
1銘柄のみ購入では分散投資不可
複数銘柄で運用
1銘柄のみ購入でも分散投資が可能
複数銘柄で運用
1銘柄のみ購入でも分散投資が可能
上場している
リアルタイムに取引可能
上場している
リアルタイムに取引可能
非上場
ユーザーは自由に売買できない
配当金
会社の利益を株主に還元
分配金
会社方針や運用状況による利益還元
分配金
会社方針や運用状況による利益還元

暗号資産から投資の世界に入った方は「ETF」が聞きなれない言葉だと感じるかもしれませんが、株式などの従来の投資の世界では「ETF」は非常にポピュラーな金融商品です。

  •  一般的に投資信託よりもETFの方が手元資金やコストを抑えた投資が可能
      ↳ 初心者でも参入しやすく、中級者以上であれば戦略的に攻めた取引も可能
  •  株式とETFは取引所に上場しているので、リアルタイム価格で取引することが可能
      ↳ 投資信託は1日1回算出される基準価格による取引となる
  •  株式とETFは自ら取引可能で、成行注文・指値注文の指定の他、信用取引も可能
      ↳ 投資信託は基準価格により証券会社が取引を処理する(個人で注文はできない)

ETFは投資のプロが選んだ銘柄のマルチパック的な投資商品であり、売買の自由度が高く扱いやすいというメリットがあることから、利用する人が多いのも納得です。

(*’ω’*)σ ETFは株式と投資信託の利点を合わせ持つ、ハイブリッド型投資商品だと言えます。

これまでの説明ではETFが万能な投資商品のように感じるかもしれませんが、注意したい部分も存在します。リスクというほどの内容ではありませんが、デメリットもあります。

  •  「信託報酬」というコストがかかる
      ↳ 投資のプロが運営しているため人件費がかかっており、そのコストをユーザーが一部負担
  •  積立購入や複利運用に対応していないケースが多い
      ↳ 手動での買い増しや、報酬の再投資手続きなどの手間がかかる

暗号資産取引でも、積立購入は販売所価格が適用されて手数料が割高になったり、ステーキング報酬の一部が手数料として取引所に徴収されていたりという場合があるので、ETFにかかるコストも必要経費と考えて運用すれば、特に大きな問題ではないと言えます。

現物ビットコインETFの特徴・仕組み

Bitcoin ETF とはビットコインを投資対象に含んだ上場投資信託です。

Bitcoin ETFは大きく分けて、先物価格に連動する「先物型」と現物価格に連動する「現物型」があり、実はアメリカでは2021年10月既にビットコイン先物に連動するETFは承認され上場しています。

(*’ω’*)σ 2023年6月には「レバレッジ型ビットコイン先物ETF」も承認されています。

既にBitcoin ETFは稼働していたのに、なぜ今回2024年1月10日のビットコイン現物ETF承認が歴史的出来事と報じられているのでしょうか?

  •  先物型は商品設計によって、決済時にコストがかかるなど複雑な金融商品になる
  •  先物型は価格が現物から乖離しやすく、やや扱いが難しいという課題がある

しかし現物型なら実際のリアルタイム価格に連動するため、投資する側にとって扱いやすい商品だと言えます。

(*’ω’*)σ 暗号資産取引でも、デリバティブ取引より現物取引の方が分かりやすいのと同じですね。

▼ ビットコインETF取引の特徴

  •  暗号資産取引所ではなく、証券会社を経由して証券取引所で取引する
      ↳ 証券会社の口座が必要
      ↳ 暗号資産のDEXのように、いつでも誰でも取引ができるわけではない
  •  取引は平日の9:00~11:30と12:30~15:00のみ可能
      ↳ 証券取引所がオープンしている間のみ取引が可能
      ↳ 24時間365日取引可能な暗号資産に比べて取引時間はかなり限定される

ビットコインETFは実際にビットコインを購入するわけではないので、暗号資産取引所ではなく証券取引所で売買をします。あくまでビットコイン価格に連動した金融商品の取引であり、暗号資産取引所の口座やウォレットは必要ありません。

(*’ω’*)σ ビットコイン現物ETFという名称ですが、実際にビットコインを保有するわけではない!

節税になる?ビットコインETFの税金

暗号資産投資よりETFの方が課税対象となる所得の幅が狭いので、税金は安く済むと言えます。

(*’ω’*)σ 暗号資産投資とETFにかかる税金の違いを、簡単に比較してみましょう。

通常、暗号資産投資による所得(収益から経費を差し引いた利益)は「雑所得」という税金の区分となり、給与など他の所得額に応じて算出され5~45%の税が課されます。

暗号資産の税金が高いと言われるのは「総合課税」が適用されるのが大きな理由です。

さらに住民税や復興特別所得税を合わせた最大税率は55%にもなります。

( ゚Д゚)σ 55%ということは、1億円の利益があったとしても5,500万円が徴収される計算!え?!

とは言え、MAXの55%の税率が課される人は限られています。

MAX適用となるのは、給与所得などとの合計が4,000万円を超える場合で、一般的なサラリーマンはまず縁の無い数字なので、過剰に恐れる必要はありません。

▼ 所得税率/速算表

 課税される所得金額 税率 控除額
 1,000円~1,949,000円まで 5%  0円
 1,950,000円~3,299,000円まで 10%  97,500円
 3,300,000円~6,949,000円まで 20% 427,500円
 6,950,000円~8,999,000円まで 23%  636,000円
 9,000,000円~17,999,000円まで 33%  1,536,000円
 18,000,000円~39,999,000円まで 40%  2,796,000円
 40,000,000円以上 45%  4,796,000円

参考:国税庁HP/No.2260 所得税の税率

「課税される所得金額」×「税率」-「控除額」=「税額」となります。

例えば、給与所得が600万円、暗号資産による所得が200万円の場合、800万円の23%から控除額636,000円を引いた1,204,000円が税として徴収されるというのがザックリとした概算です。

(*’ω’*)σ 実際にはここに復興特別所得税が加算されるので、もう少しだけアップします。

税金の種類や特徴は?計算方法や注意点は?など、難しそうな話が図解で分かる記事を作成したので、よろしければ合わせてご覧ください。

 暗号資産にかかる税金を図解たっぷりでやさしく解説
▶ どんな場合に課税対象になるのか?最低限おさえたいポイント

一方、ETFによる利益が出た場合は「申告分離課税」という区分となり、課税対象となる所得の幅が狭くなるため税額にかなり違いがでてきます。(図の左側)

ETFにかかる税金は以下の種類があり、メインの所得(給与など)とは分けて課税されます。

 販売委託手数料の消費税 ETF売買の際に証券会社に支払う手数料に消費税がかかる
 ETF売却益の譲渡所得税 ETF売却益は譲渡所得となり課税対象となる
 分配金の配当所得税 ETF保有中の受取分配金は配当所得となり課税対象となる

また、ETFではNISA(少額投資非課税制度)の利用も可能なため、ざっくりした情報で「ETFは節税になる」と耳にすることが多いと考えられます。

現物ビットコインETFは日本でも買える?

 2024年1月時点、日本ではビットコイン現物ETFどころか暗号資産ETF自体が承認されていません。 そのため、日本国内の証券会社ではビットコイン現物ETFの取扱いは無く、購入することはできないのが現状です。

  •  現時点で暗号資産は投資信託に組入れ可能な「特定資産」ではない(投信法施行令3条)
      ↳ 日本国内での暗号資産ETFは今のところ組成できない
  •  日本の証券会社から海外ETFへの注文取次は金融庁に対して投信法上の届出が必要
      ↳ 特定資産とされない暗号資産系のETFが認可される可能性は低いと考えられる
  •  国内の証券会社が暗号資産ETF取扱の申請を出したという情報も報じられていない
      ↳ 国税庁がNO!と言っている部分には触れない、保守的な姿勢がうかがい知れる

以上の理由から、日本国内の証券会社でのビットコインETF取扱や、海外のビットコインETFへの注文取次が解禁されるかは不透明であり、ハードルは高いというのが現状です。

(*’ω’*)σ 海外の暗号資産ETFが日本の投信法において「外国投信」として認められるかが鍵です。

しかし、海外では続々と暗号資産関連のETFが承認されていることから、今後は日本での承認や税制の改正にも期待したいところです。

分散投資により疑似的な再現は可能

日本国内でビットコインを始めとする暗号資産ETFが購入できないのは残念ですが、いつか承認されることを期待して疑似的な再現をすることは可能です。

1銘柄で分散投資が可能な暗号資産ETFよりも手間はかかりますが、海外のインデックスファンドの構成比率を模倣して現物を保有し、暗号資産の指数に連動したETFに近い運用パフォーマンスを再現することが可能です。

例えば、Hashdex社が手がける「Hashdex Nasdaq Crypto Index ETF」は、暗号資産の指数の1つである「Nasdaq Crypto Index(NCI)」と連動した運用成果を目指すインデックスファンド(投資銘柄)で、構成銘柄と比率は以下のように設定されています。

▼ 2023年9月30日に設定された比率/参考:Nasdaq Crypto Index(NCI)

構成銘柄構成比率   10万円を分散投資する場合
ビットコイン(BTC)66.71%66,710円分のBTC
イーサリアム(ETH)30.86%30,860円分のETH
ライトコイン(LTC)0.74%740円分のLTC
チェーンリンク(LINK)0.57%570円分のLINK
ポルカドット(DOT)0.35%350円分のDOT
ステラルーメン(XLM)0.34%340円分のXLM
ユニスワップ(UNI)0.26%260円分のUNI
イーサリアムクラッシック(ETC)0.17%170円分のETC

もし10万円でHashdex Nasdaq Crypto Index ETFを再現するのであれば右列の金額分の通貨を購入すればよいことになります。国内取引所ではUniswap(UNI)の取扱いが無いため、忠実に再現するのであれば海外取引所やDEXを利用することになります。

 取引所名称 種別取扱銘柄
 bitFlyer 国内取引所 UNI以外は取扱有り
 Coincheck 国内取引所 UNI以外は取扱有り
 GMOコイン 国内取引所 UNI・ETC以外は取扱有り
 Bybit 海外取引所 8銘柄全て取扱有り

忠実な再現のために8銘柄を揃えるのは大変ですが、全体の97.57%がBTCとETHで占められていることから、ざっくりとした比率「BTC:ETH=7:3」で保有して運用するのもアリかもしれません。

(*’ω’*)σ 取扱銘柄・運用方法共に豊富なBybitを利用すると、効率的な運用が可能です。

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問題は、現物を保有するだけではETFの分配金のような収益が上がらないことです。海外取引所のBybitなら預けるだけで年利数%が獲得できるステーキングなど、豊富なプロダクトで資金を増やす事が可能です。

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現物ビットコインETFの将来性・見通し

今回、2024年1月10日に各証券取引所に承認されたBitcoin現物ETFの銘柄は以下の通りです。

  •  ニューヨーク証券取引所
      ↳ グレイスケールビットコイントラスト(GBTC)/Coinbase
      ↳ ビットワイズビットコインETF(BITB)/Coinbase
      ↳ ハッシュデックスビットコインETF(DEFI)/BitGo
  •  ナスダック
      ↳ iShares ビットコイントラスト(IBIT)/Coinbase
      ↳ ヴァルキリービットコインファンド(BRRR)/Coinbase
  •  CBOE(シカゴオプション取引所)BZX取引所
      ↳ ARK 21 シェアーズビットコインファンド(ARKB)/Coinbase
      ↳ インヴェスコギャラクシービットコインファンド(BTCO)/Coinbase
      ↳ ヴァンエックビットコイントラスト(HODL)/Gemini
      ↳ ウィズダムツリービットコイントラスト(BTCW)/Coinbase
      ↳ フィデリティワイズオリジンビットコインファンド(FBTC)/Fidelity
      ↳ フランクリンビットコインETF(EZBC)/Coinbase

※銘柄(ティッカー)/資金保管先の順に記載しています

信託報酬(委託手数料)は各社バラつきがあり、概ね0.2~1.5%に設定されていますが、新規顧客を呼び込むために開始から6か月は0%に設定している企業も多く見受けられます。

(*’ω’*)σ 米国ETF商品の平均的な信託報酬は0.54%とされているので、参入しやすい設定ですね。

ビットコインETFができると何がすごいのか?

Bitcoin現物ETFが承認されたことにより、どのような動きが予測されるか、何がそんなにすごくて大きなニュースになっているのかを紐解いてみましょう。

  1.  世界の機関投資家がBitcoin ETFに参入してくる
      ↳ ETFを通じてビットコインに投資することで、一般の株や債券と同じく手軽な取引が可能
      ↳ BTC現物を保有しなくても参入可能で、暗号資産取引所の口座やウォレットも必要ない
      ↳ 機関投資家が参入しやすい環境となり、多額の資金流入が見込まれる
  2.  Bitcoin ETFの運用会社はBTC現物を購入する必要がある
      ↳ 多額の資金流入によるBTC価格上昇が見込まれる
      ↳ 2004年、金/ゴールドの現物ETFが承認されて以降、金の価格は上昇傾向が続いている
  3.  世界の機関投資家がビットコインをポートフォリオに組み入れる可能性が高まる
      ↳ 機関投資家の96%が暗号通貨を分散投資の対象と考えている/Laster Digital発表
      ↳ 暗号資産に投資をする機関投資家が増加していくことが予測される

簡単に言うと、今まで「ビットコインに興味はあるけど面倒なことはしたくない」と考えていた投資家がBitcoin ETFを購入し、間接的にビットコインに資金が流入・価格上昇が見込めるというわけです。

(*’ω’*)σ いわゆる「くじら」と呼ばれる巨大な資金を保有する機関投資家たちが動き出す?!

現物ビットコインETFまとめ

Bitcoin ETFが注目される理由にはいくつかの要素がある事と、その結果期待できる暗号資産業界の動きについて解説してきましたが、最後にもう一度要点をまとめておきます。

  •  簡単なアクセスと取引の容易性
      ↳ Bitcoin ETFは、通常の株式と同じように証券取引所で売買できる
      ↳ 投資家は暗号資産取引所を利用する必要なく、既存の証券口座を通じて手軽な取引が可能
  •  投資商品としての扱いやすさとリスクの分散
      ↳ Bitcoin ETFは、ビットコインだけでなく、他の複数の資産やインデックスとの組合せが可能
      ↳ 投資家はリスク分散とBTC価格の変動に依存しない投資ができるというメリットがある
  •  暗号資産市場への参入者増加
      ↳ 従来の投資方法の中で投資商品に暗号資産が加わる形なので、参入障壁が下がる
      ↳ 一部の投資家が敬遠している暗号資産への投資を、Bitcoin ETFを通じて間接的に促進できる
  •  機関投資家の参入
      ↳ 機関投資家や大口の投資家が仮想通貨市場に参入する可能性が高まる
      ↳ これにより市場が成熟し、一般の投資家にとってもより安定した取引環境が期待される

以上のことから、暗号資産市場にとってプラスになる動きが期待できそうだという事が分かりました。いずれ日本でも承認されたら、Bitcoin ETFを買ってみたいと思った方も多いのではないでしょうか?

(*’ω’*)σ BTC現物とBitcoin ETF両方を運用して、比べてみるのも楽しそうです。

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